砂のオンナ

もうロンドンよ、いま。

かもめが翔んだ日

久方ぶりにケガをした

雨上がり
曲がり角にあったマンホールに
自転車の後輪をとられて
スリップ アンド ダイブ

自宅からわずか50mの曲がり角で ダイブ

若かった頃なら もしかしたら
パパパとジャンプしてどこもケガもなく
「あっぶね、自転車壊れてねーかな?」
くらいで済んだであろうスピードで

ダイブ

(あ、これ、転ぶのでは?) と気付いたときに
いの一番に思ったのが

アタマダケ ハ マモラナイト

ううん、ちがうよ
これ、お酒とエロと音楽が交差するセクシーイベントの新名称とかじゃないよ
ババアが咄嗟に思った「命」に対する真摯な態度
それがアタママモラナイト

とはいえもう自転車からダイブした時点で
初速度とか落下運動とかそこらへんの法則に身を委ねるしかなかった
おもっただけでなにもできなかったの
もうちょっと物理勉強しておきゃよかったな

けれど勉強しなかったことが逆によかったのかも
変に抗って 体を捻って強く後頭部を打つとか そういうの求めてなかったし 無かったし

まぁその結果 思わずついた手の次に顔から着地するとかは
わたしぜんぜん聞いてなかったけれど

鼻の頭と唇と口の中
流血しながらダンスフロアーで踊っていたのは
あたしひとりだけ それがアタママモラナイト

「マダム、キズモノになっちゃったね」
ってパートナーの気の利かない慰めに
じょうずに言葉を返せなかった

それがアタママモラナイト

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